JOL 的 リレー小説


タイトル未定



 現在進行中のリレー小説はこちらからどうぞ。(直リンは何故かはじかれる模様)





十三周目三番



 敵の本拠地を急襲する為に集合中の修道騎士団の後ろの土が一瞬で穿ちその後に土煙を上げる。
 数名が大地の変化に巻き込まれた。
「どうなってるんだ」
「なにがおきているんだ」
 兵士達の飛び交う言葉は混乱に満ちていた。
 普段居るはずの白の聖女は別用でこの場に居ないという事実が騎士団の混乱に拍車をかけていた。
 そして土煙が収まった時、この場に居るはずの無い敵が現れた
「な、貴様ら何者だ!?」

 その光景を丘から見下ろしている人物が呪文の詠唱を終えた時、二人の人…だったものが立ち上がる
「仮にも《水》と《風》の称号を与えられていたのだからもう少し役に立ってもらわないといけませんね」
 二人は片肘を地面につけキルウィスに礼をする
「行きなさい、そしてこの世の未練を晴らすが良い」
 二つの影が大地を飛び立ち、戦闘の行われている平原に向かった。
「では最後の総仕上げと行こうか」
 キルウィスは更に呪文の詠唱に入った

 昨晩に引き続き今朝もクオンは女性の訪問を受けた。
「あ、あの…私に剣術を教えてください。どうしても倒したい相手が居るんです」
 ソウカはトロル退治の際に見たクオンの剣技を見て剣術を習う決意を固めていた。
「今のままでは勝てないんです、私はどうしてもあの男を倒したい」
 最後は涙混じりになりながらソウカは訴えた。
 クオンは困惑していた、剣技を教えることは出来てもそれがソウカに適しているとは思えなかったからだ。
 しかしあまりにも真剣な願いを無下に出来ないでいる事も確かだ、その事をどのようにうまく伝えるか悩んでいたが
「判った、では稽古を始めようか」
「ありがとうございます、では準備をしますので一旦失礼します」
 謝礼の言葉を発しソウカはクオンの部屋から出ようとした刹那、苦痛交じりの悲鳴が宿に木霊した
 身近にあった剣を携えクオンとソウカは悲鳴のした方へ向かった。
 そして二人の予感は的中した、悲鳴を発しているのはシエーアだった。
 みんながシエーアの部屋に入ってきたとき、シエーアの悲鳴は止まった。
 しかし悲鳴の停止は次なる行動への序曲だった。
 いきなり部屋を飛び出し駆け始めた。
「追いかけましょう」
 ティオレが確認するようにみんなを促した。

 最初は騎士団に押されっぱなしだったがいきなり飛来してきた二人によって五分以上の戦局になっていた。
 エルフィスは巧みに戦闘の輪から離れていき状況の把握に努めた。
「ちっ!あのキルウィスって野郎は喰えねえな、死んでもこき使うタイプかよ、まあおかげでこちらは手を抜けるんだがな」
 戦況を見極めようとしているエルフィスは段々自分の置かれている立場を把握しかけた時、更なる戦況の変化が現れた。
「ま、まさか…あれはシエーア…なぜここに」
 しかもシエーアはエルフィスを目標に戦場を掻い潜り近づいてくる。
 戦場から離脱したはずが新たな集団の到着により戦場の中心へと変化する
「シエーアになにをしたアルウィン、答えようによってはただでは済まさんぞ」
 短刀を構えながらジェッターが問う
「お前に答える必要などない、ほう、偽勇者のクオン様も一緒か、それに泣き虫ソウカも一緒とはな、妙な組み合わせだな」
『ちっ!厄介なヤツばっか揃いやがって』
 エルフィスは内心で舌打ちした。
 一瞬の静寂の後、最初にソウカが動き出した。
「リガロの仇、そして私自身の仇…死ね〜〜」
 ソウカの繰り出す剣はもう一人の少女によって止められた。
「あなたの相手は私、お兄様に指一本触れさせない」
 シエーアは両手に剣を構えソウカの前に立ちはだかった。
 ソウカとシエーアの対峙を合図のようにジェッターとティオレも動き始めるがその行動も両者の側面から邪魔が入る。
 ジェッターは間一髪で不意を付いた回し蹴りをかわした
「お・お前はクレイトン、馬鹿な死んだはずでは…」
 二人の少女をはさんだ反対側ではティオレのボウガンから放たれた矢をセレンティアの放った水の矢が撃墜する。
「どうやらここで雌雄を決する運命らしいな、クオン
 どっちが真の勇者かはっきりしてやるぜ」
 エルフィスは紅蓮鳳凰剣を構えた
「俺は勇者なんぞに興味はないが売られた喧嘩は買う主義でね」
 クオンも剣を構えた。
 今まさに4組の決闘が始まらんとしていた。


風花雪月 (05.11.23)
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