「では、行きます」
　誰に言うでもなく声にだしてしまったぐらいの勢いで取っ手を持って押そうとした瞬間
　扉の取っ手がティオレの手から逃げていく
「えっ」
　小さな声を上げてしまい、そしてそのままバランスを崩してしまった。
　いつもならバランスを崩すことなどないのだが、普段とは違う感情の所為だろうか
　そんなことを考えながら体はバランスを保とうとしたせつな、またもや思いもよらない力が働いた
「おっと」
　力強い男性の声、一時は共に行動していた、そしてこの扉を開けることを一瞬でも躊躇させた男性の声だ
「おいジェッター、お前知ってってわざと扉を開けろとか言ったな」
　クオンはティオレを支えたままジェッターを批難した
「そういう割にはいつまでティオレちゃんを抱きしめてるじゃないの？やるね〜クオンのダンナ」
　ジェッターはニヤニヤしながら続けた
「お帰り、ティオレちゃん、オレッチ心配してたんだよな〜おおそこに居るのはソウカちゃんじゃないの、ささ入って入って」
「ではお邪魔します〜、ソウカちゃんも入る入る、でクオンさんとティオレはちょっと退いてね」
　マりエルはソウカの両肩をおして部屋に入ろうとした
　ここに来てソウカとティオレは同じ違和感に襲われそして
「シエーア･･･」
　と声をハモらせた。彼女達が知っているシエーアでは無い雰囲気がしていた。