「で、結局これからどうする?」
まるで人事のようにジェッターが質問した。
「どうするっていわれてもな、トロルを退治するか迂回するかのどちらかだな」
と答えるクオンであったがあまり会話に乗る気ではなさそうだった。
『ここで暫く滞在する事でティオレが追いついてくれればよいがな』
トロルによる足止めはクオンにとってはある種、歓迎できるものであった。
「迂回路を探すにしても、トロルを退治するにしてもまずは情報だよ。
こんなことも判らないの、ジェッター」
「やっぱり情報収集だよな、そうなるとやっぱオレッチの仕事か。
やだなぁ〜ギルドに行くのって結構神経つかうんだよね〜」
「ジェッターでも気を遣う事あるんだ、初めて知ったよ」
ジェッターは財布の中身を確認しながら
「まあな、オレッチも人の子ってことだ」
と笑いながら答えた。
「では私はイスティーアへの別ルートがあるかないか教会で司祭さまや巡礼者に聞いてみます」
「じゃあボクはジェッターとは別のルートで情報収集してみるよ、それに骨董品屋とか武器屋とかで魔法の剣を探してみようかな」
と言ってシエーアはグラスに残っていた果実酒を飲み干し、席を立った。
そしてそれぞれが街中にくりだした。
「以上です、きちんと伝えましたよ、フィアナさま」
「ちょっとそれはどういうことなのですか、カロン司祭」
現状の報告の為に教会にやってきたフィアナは思いもよらない報告を受けた。
「どういうことと言われましても、私はただ猊下のお言葉を伝えただけであります」
伝令という役目を終えたカロン司祭は涼しげに答えた。
「約束が違いすぎます」
「どんな約束をなさったのか知りませんが、全ては教会のためです」
「それでは、それではあまりにもティオレが可哀そう」
フィアナは窓から外を眺め同じ空を見ているであろう妹を心配した。
「この宿も満室か」
大きなため息の後、ソウカは歩き出した。
「よお、姉ちゃん一人、だったら俺たちと楽しまない?」
「なあ、いいだろう、どうせ橋は渡れないんだし、俺たちといいことしようぜ」
宿を探してちょっとした裏通りに入った瞬間3人の男に絡まれてしまった。
「あなた達と遊んでいる暇はありません」
「そんなこと言わずにさぁ、楽しもうぜ」
3人はソウカに近づいてきた。
何を言っても無駄だと悟ったソウカは今来た道を引き返そうとした瞬間、3人の男に囲まれしまった。
「いいかげんにしてください、でないと」
言葉の続きを言おうと思った矢先
「でないとなんだって?ねえちゃん」
と一人に腕をつかまれた。
「痛い目にあってもらいます」
言うな否や腕を振り解き、剣の柄に手を伸ばした。
「おお、実力行使ってワケか、だったらこっちも力ずくでいくぞ」
3人とも剣を抜いてソウカに襲いかかった。
勝負はあっけなくついた。
「ちきしょう、覚えていやがれ」
捨て台詞を吐きながら男たちは退散していった。
「おねえさん強いんだね、でも悲しみに満ちてる、そんなんじゃこれ以上強くなれないよ」
ソウカは不意に声を掛けれらた
「誰?」
声のした方に振り返ると一人の少女がこちらを見ていた
「ごめんなさい、偶然さっきの場面を見ちゃったの、ボクはシエーア」