いきなり川の水に流されてしまったエルフィスは肩と膝の痛みにより目が覚め、そして辺りを見渡した。
「ククク……やっと運が俺の方に向いてきたな」
エルフィスは視線の先に倒れている二人の方に向かって片足を引きずりながら歩き出した。
「しかしソウカとナーリが共に倒れているとはな、手間が省けたな」
剣を大事に抱えてるソウカ、そのソウカを庇う様にナーリ王子が覆いかぶさっていたまま、未だ気を失っていた。
エルフィスと二人の距離が縮まって後10歩まで近づいたときエルフィスの足元に短剣が飛んできた。
「残念だったな、リガロ、それとも今は別の名を名乗っているのかい、アルウィン」
ジェッターはエルフィスとソウカ、ナーリ王子の間に割り込んできた。
「なにを言ってるんですか、私はマローン公直属の騎士団の者です」
「変装していてもばれてるぜ、さっきいやというほどお前の剣筋を見せてもらったかな。お前の剣筋を忘れるワケがないだろう?」
「ちっ、やっぱりばれてたか」
「で、どうする?やっぱりやるかい」
「いや、やめて置こう。こう見えても分の悪い賭けは嫌いなんでね」
エルフィスは森の中に消えていった。
「ふうっ。いくらオレッチでもアルウィン相手では厳しいからな、しかし……最近のオレッチは子守ばっかだな」
ソウカとナーリ王子の元に歩み寄り腰を下ろした。